夫婦が離婚するにあたり、夫婦の共有財産の名義変更を行うことがあります。

例えば、不動産や生命保険の名義変更が考えられますが、不動産の所有者名義の変更は抵当権(住宅ローン)がある場合は難しかったり、生命保険や学資保険に関しては保険会社に確認してみる必要があります。

「夫名義の預貯金通帳を妻の名義に変更して、財産をもらいたい」と希望する方もいらっしゃいますが、それは可能なのでしょうか?

私が道内のいくつかの金融機関に問い合わせたところ「預金通帳の名義変更はできない」ということでした。

通帳の名義人を 「木田晶子 木田太郎」というふうに変更できそう、とイメージするのは簡単ですが、こういう方法は取れないそうです(できる金融機関もあるのかもしれませんが・・・)。

離婚に関して言えば、「預貯金を分けること」は財産分与ですので、夫または妻が相手方に対して〇〇万円を引き渡せば、それが財産分与となります。

つまり、預金通帳の名義人を変更するのではなく、夫(妻)が預金を引き出して、それを妻(夫)に支払うことで済んでしまいます。

通常、財産分与は離婚成立後(離婚届を提出した後)に行ないますが(離婚前に行うと「贈与」となる可能性があります)、夫から財産分与をもらう約束をしても、夫がお金にルーズな人であれば、妻は「財産分与をもらってからでないと離婚できない!」と考えることもあるでしょう。

このようなケースでは、財産分与と離婚届を提出するタイミングをどうすのがよいか、夫婦でしっかりと話し合うことがまず第一ですが、離婚成立前に財産分与を行うということになれば、そのことをしっかりと公正証書などの書面に書くことにより、贈与ではなく財産分与である合意を証拠として残しておくことができます。(絶対的に贈与にならないということではありませんので、ご注意ください)

後々のトラブルを防ぐためにも、離婚の合意内容を書面に残しておくことは非常に大切です。離婚に関する公正証書作成を検討されている方は、ぜひ札幌離婚相談ねっとにご相談ください。