夫婦が離婚する際、慰謝料や財産分与、未成年や就学中の子がいれば親権、養育費などについて、「いくらを」「どのように支払うか」の約束をします。

離婚届には、「(未成年の子がいる場合)離婚後の親権者は夫婦のどちらかがなるのか」を記載しますが、それ以外のことは離婚届には記載されません。

養育費と面会交流については、平成24年4月から離婚届には、「夫婦間で取決めをした」「してない」のチェック欄が設けられていますが、具体的な養育費の金額や支払期間、面会交流の方法までの詳細を書く様式にはなっていません。

つまり、離婚にあたって慰謝料、財産分与などの約束をしても、親権以外のことが離婚届に記載されることはありません

離婚にあたって夫婦が取り決めた慰謝料、財産分与などの約束は、くち約束であっても夫婦間では有効です。

しかし、後になってから(数日後なのか、数年後なのか分かりませんが・・・)、「言った/言わない」などの争いになる可能性があります。

そのような争いを避けるために、おすすめするのが「離婚協議書」です。

離婚協議書の作成は任意です。任意というのは、「作るか作らないかは、夫婦にお任せする」という意味です。

離婚の成立時期は、

協議離婚 → 市役所などに離婚届を提出した時

調停離婚 → 調停が成立した時

ですから、離婚協議書は離婚成立に必要な条件ではありません。

離婚協議書の作成は任意ですが、夫婦が離婚協議書を作ることにお互いに協力できるのであれば、「離婚公正証書」の作成をお勧めします。

(離婚協議書は無くても、離婚公正証書は作成できます。)

というのは、離婚協議書は、通常は夫婦間で手書きやパソコンで作成して署名・押印して保管しておくことになりますが、これでは、本人の身分確認や意思確認がないこと、また素人が作る書面なので法律に反する内容を盛り込んでしまうこともあり、内容が「無効」となる場合もあります。

したがって、離婚協議書では、強制執行する効力(給与などを差し押さえできる効力)まではありません。

これに対して、離婚公正証書は、公証人が手続の中で、当事者の身分確認と意思確認を行ない、内容的にも法律に反することは盛り込めませんので、このような厳格な手続きを踏んで作成した契約書(公正証書)に対しては、強制執行できる効力が認められています。

「くち約束」より「離婚協議書」、

「離婚協議書」より「離婚公正証書」

が当事者にとっては有効で安心できるものですので、可能であれば離婚公正証書の作成をお勧めします。