「オレのじーちゃん」

 

こんばんは。行政書士の縁山記孝です。

最近春になり、我が事務所の換気扇の外側にスズメが巣を作りだしたようで、毎日毎日チュンチュン鳴いています。

 昔のオレだったらその騒音を気にしていたと思うけど、なぜかここ数年は、「スズメも外敵から子を守るために安全な環境を探してたどり着いたんだろうな」って思うようになりました。

オレも小さい時は「祖父母や母に守ってもらっていた」、「うるさくして近所の方々に迷惑かけていた」って思い出すと、童心に帰って懐かしいのと同時に他人や動物に自分を重ねて見るようになってきました。おそらく以前より寛容になってきたのでしょうね。

 現在37歳のオレが、ここ数年で色々丸くなってきたのにはワケがあります。

それは、大切な家族の死に関係があります。

 さて、今日は、そんな家族の一人であり9年前に亡くなった祖父(以下、じーちゃんという)の話をしようと思います。

 じーちゃんは、とても優しくて、世の中の同性でオレが唯一尊敬している人物です。オレにとって時には父であり、時には祖父であり、無償の愛情を与えてくれたかけがえのない人でした。

尊敬している理由はたくさんありますが、その一つを述べるとすれば「育てる事」を知っている人でした。育てる事を知っているから人間のその後の可能性、更生の可能性という芽をむやみに摘んだりしない人でした。また、動かない物、例えば植物にも命があり、その命を大切に思える人でした。

 実家の庭に植えてある植物達は、オレにとってはじーちゃんが残してくれた「大いなる遺産」です。

じーちゃんが大切にしていたおふくろもばーちゃんも木も花もじーちゃんが人生の中で育て続けてくれた大切な命です。もちろんオレの事もすごく大切にしてくれました。

 じーちゃんが亡くなってからしばらく何年も悲しくて仏壇に飾ってあるじーちゃんの写真を見るのも辛い日々が続いていたのですが、そんなある日、庭に咲いてる花を見たんですね。その時オレ「じーちゃんの体はもうこの世にないけど、じーちゃんが大切に育てた物がここにもあるよな」って思ったんです。

こうやって、命を育むって事は人間だけじゃなく自然界の植物や動物にも当てはまるよなって思うようになったんですね。

だから、オレ極端かもしれないけどスズメ達に自分やじーちゃんを重ねて見るようになったかもしれないです。

 本当にデキが悪い孫なのにたくさん愛情くれて成長を楽しみにしてくれました。

病院で亡くなる数日前には、やせ細って昔みたいにオレの手を握ることすらできなくなっていて…そんな中でも自分が苦しいのにも関わらず、オレの手の平を親指でさすって「病院の帰り運転は気をつけろよ。危ないからな」って心配してくれたじーちゃん。その温かい手の温もりは今でも覚えています。オレはそんなじーちゃんの孫で幸せでした。

 人が亡くなる事は自然な事で誰しもいつかは訪れる事ですが、それを受け入れることはなかなかすぐにはできないことでした。ドラゴンボールみたいにシェンロンがいたら生き返らせてもらえるけど、現実にはそんなことはなくて、自分がいくら頑張っても、出世してお金を積んでも、何をしても変えられない事実であり、その事実を受け入れることが自分の最大の試練になりました。

その試練に向き合っていくうちに、人が産まれてくる事はこれから愛情を持って育ててくれる人への「最初に与える喜び」であるが、その育ててくれた人が亡くなる事は今を生きる側へ与えてくれる「最後の教育」だなって思うようになりました。

つまり、自然の仕組みを受け入れて、自分もいつかは亡くなる時が来るのだからその時までは一生懸命生きなさいっていうじーちゃんからの最後の教育であると捉えました。

 この最後の教育を受けたのだから、悲しむだけ悲しんだら、死という普遍的な出来事を受け入れて、故人が生前望んでいたような大人になる事が望ましいって思えるようになりました。

そしてそれがオレの中では、愛情をくれた家族への最大の供養だと思うようになりました。そして、行政書士という仕事できちんと自立した大人の男になったオレを天国から見ててほしいから今後も成り上がる気持ちは満々です。

 オレは行政書士としてのスタートは遅かったです。

けど、もし37歳のオレが「もうオレ37歳だもん、新しいことやるなんて遅いよ。もうみんな同年代は俺ら若くないって言ってるし…」なんて思ってたら……、10年後の47歳のオレが今のオレに「なんでまだ若いのに諦めるのよ?お前それで良いつもり?周りは謙遜しつつも走っているのに、お前は止まったまんまじゃん。」って言いそうですもん。

だからオレ自身への自戒の為にも、そして同年代で未だ動いていないのに不安を持ちすぎて色んなことを諦めがちな人がいたらその人達にも言いますね。

「やっちゃえ、おっさん!」   ※「やっちゃえ、日産」のパクリ。

 少々、永ちゃんが入りましたが、そんな感じです(笑)

 

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行政書士 縁山記孝