先日、外国人の在留に関する相談(私の離婚以外の専門業務です。)にいらした方と、こんなやり取りがありました。
(「日本人の配偶者等」という外国人の在留資格は、婚姻届を出して法律的に夫婦になった場合にしか認められない。という話しの流れで・・・)

相談者

「日本は、もっと事実婚や家族形態の多様性に対応すべきだよ」

「日本の法律や制度では多くの場合は法律婚を想定していて、事実婚は想定していないですよね。」

相談者

「法律的な結婚や家族を大切にしているのに、日本では簡単に離婚が成立してしまうのはナゼ?私の国もそうだし外国では、離婚したければ裁判所で大変な手続きをしなければならないんだよ。」

そうなんです。

日本の離婚の約9割は「協議離婚」です。

協議離婚というのは、夫婦が離婚に合意して、離婚届に署名押印し、本籍地又は住所地の役所に提出するだけで離婚が成立するという、手続き自体は非常に簡単なものです。

協議離婚では証人が2人必要ですが、夫婦が離婚する事実を知っている人であれば誰でも構いませんから、証人になってくれる人を探すのも、難しいことはありません。

この協議離婚という制度があるのは、先進国では日本くらいです。

欧米諸国では国や州などにより制度は異なりますが、だいたいは、夫婦双方が離婚することに合意していても、裁判所で何らかの手続きを取る必要があります。

私が以前カナダのブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市に住んでいたとき、勉強のために1か月間、裁判所に通って離婚裁判を傍聴しました。

その裁判は、夫婦双方が離婚合意している離婚裁判の手続きで、なんと、当事者である夫、妻のほか、知人、子供の学校の先生などが裁判所で証言していました。

(話しは戻りますが、私がバンクーバーにある法律事務所で働いていた当時のブリティッシュ・コロンビア州の移民制度では、日本の「日本人の配偶者等」に該当するような在留資格では、「事実婚」だけでなく「同性婚」も正式なパートナーとして、在留資格の申請をすることができました。やはり日本の法律、制度は遅れているのかでしょうか・・・??)

日本の協議離婚の「手続き」自体が簡単だといっても、夫婦双方が「離婚すること」や「離婚するにあたっての条件(慰謝料、財産分与、養育費など)」に合意していなければ、離婚届は提出することはできないので、離婚することは簡単なことではありません。

しかしながら、離婚の9割は協議離婚であることは、やはり注目すべき事実だと思います。