離婚相談をたくさん受けていると、「息子は、夫の家系では○代目なので」とか、「息子が先祖代々の墓と土地を守っていかなければならない」などのような話しが出てくることがあります。

あくまで私の経験談ですが、このような話が出てくるのは夫婦のいずれかが本州出身者のような場合で、北海道は比較的歴史の浅い土地ですから、このような話をする方は道内出身同士の夫婦では多くありません。

離婚する夫婦の子が「将来、先祖の墓を守ることになる」ということと、「子の親権と養育権、子の戸籍をどうするのか」ということは、法律上(少なくとも民法と戸籍法上では)は、本来は関係の無い問題です。

例えば、子が将来父親の家系の墓を守ることになりそうでも、夫婦の離婚後は、母親が子の親権者とすることや、母親の戸籍に子が入ることになっても、何ら問題は無いのです。

なぜなら、夫婦は離婚することで他人になりますが、父と子、母と子の法律的な親子関係は、絶対に切ることができないからです。

子が母親の親権に服することになっても、子が母親の戸籍に入ることになっても、子と父親の法律的な親子関係に変化はありません。

父親が死亡すれば子は相続人になりますし、子が父親の家系の墓を守ることになっても、法律上は何の問題もないのです。

しかしながら、法律上の問題はないといっても、感情的なシコリが残ることはあるかもしれません・・・。

例えば、「子は、離婚のときに母親に付いていったのだから、父親の財産は相続させない」、「子と父親は縁を切った」という、父親やその親族の感情です。

このような問題は、その土地の風習などが関わる場合も多いです。

このようなことで揉めそうな場合は、「その土地のこと」と「離婚」の両方に詳しい行政書士に相談してみることをお勧めします。