「姻族関係終了の意思表示」

 

 

自分の血族の配偶者や自分の配偶者の血族の事を姻族(いんぞく)と呼びますが、配偶者の親は、この姻族に該当します。

離婚すると、相手方配偶者の親との姻族関係は黙っていても当然に終了します(民法728条1項)。

しかし、配偶者が死亡した場合は、当然には姻族関係は終了しません。もし、死亡した配偶者の親と姻族関係を終了させたければ、姻族関係終了の意思表示(具体的には、市区町村に姻族関係終了届けを提出する)をする必要があります(民法728条2項)。

なぜ、姻族関係を終わらせたい場合が出てくるのかについてですが、民法には、扶養に関する規定があって、もしかしたら、一定の場合には、家庭裁判所の力で死亡した配偶者の存命する親を扶養させられる可能性がある(民法877条2項)からというのが一つの理由として考えられます。

たとえば、配偶者やその親のことがものすごく嫌いだったとして、ゆくゆくは離婚しようと思っていた矢先に、配偶者が突然事故に遭って亡くなってしまった場合、離婚していれば、その親との姻族関係は終了していたはずですが、死亡した場合には当然に終了しないので、配偶者が亡くなった後も、何らかの関係を持たざるをえなくなるケースも考えられます。そんなときには、姻族関係終了の意思表示をしておけば、姻族という前提が消えるので、まさに赤の他人という関係になれます。

しかし、逆のパターンで、死亡した配偶者の親の側からは、自分の子の元配偶者との姻族関係を終了させる事は出来ません。

 

ちなみにですが、結婚するに際して、氏(名字)を変えた人は、配偶者が死亡したことによって当然には結婚前の氏に復氏しませんが、届け出ることにより複氏することはできます。

この複氏と姻族関係とは何の関係もなく、氏を結婚時のまんまにして姻族関係を終了させることも、姻族関係をそのまんまにして複氏することもできます。

 

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行政書士 縁山記孝