未成年の子どもがいる夫婦が離婚する際、養育費についての取り決めをします。

養育費は多くの場合、夫から子を引き取る妻に対して支払われるので、ここでもその例で説明します。

養育費を毎月支払うと取決めをしても、「数年後には支払われなくなるのでは」という妻の不安から、「一括で支払って欲しい」という希望が出てくることは少なくありません。

養育費は、「子供の生活費」という性質のため、毎月払いが原則になっています。

そして、一括払いだと金額が多額になること、一括で支払ってしまうと父子関係が切れてしまうのではという夫側の拒否、そして「本当に子供のためにお金が使われるのか」という夫の妻に対する不信感等も、養育費の一括払いを事実上難しくしています。

また、法律的にも、万が一子供が亡くなってしまったときの問題、妻が養育費を使ってしまって足りなくなったときの問題等があることから、離婚調停や公正証書作成においても、養育費の一括払いには非常に慎重になっています。

私も多くの離婚公正証書の作成に携わっているなかで、養育費が一括払いされた例は、あと数か月で養育費が終わるので多額でないケースがありますが、やはり養育費の一括払いは現実的には非常に難しいと感じています。

また、税務上、一括で支払われた養育費は贈与税として課税される可能性があります。

信託銀行で「養育信託」という信託契約を締結し、一括払いの養育費を信託銀行に預けて養育費に相当する金額を定期的に受け取る場合には、贈与税は非課税となるようですが、以前信託銀行に問い合わせたところ「そのような商品についてわからない」と言われたことがあり、こちらも一般的ではないようです。

養育費の一括払いを受ける際には、いろいろな注意しなければならない点がありますので、事前に離婚専門の行政書士等に相談することをお勧めいたします